お母さんにドライヤーみたいだから、取っ手つけてって言われたでしょ?
でも、どうせ作るんだったらちゃんとしたのを作りたいもん。
それに今日は魔道オーブンを作ってるから、お母さんにはこれに取っ手をつけるんじゃなくって、今度ちゃんとしたのを作るねって約束したんだ。
「ちっちゃな魔石でもちゃんとあったかくなったんだから、おっきなのを使えばきっとオーブンが作れるくらい熱くなるよね?」
って事で今度はブレードスワローから獲れた大豆くらいの魔石を火の魔石に属性変換して、さっきの米粒くらいの魔石と取り換えてみたんだけど……。
「あれ? すごく熱くなったけど、これじゃあまだオーブンには使えなさそう」
冷蔵庫を作る時にも使った温度によって反応が変わる魔道回路図で作った実験器具に風を当ててみたら、100度ちょっとにしかならなかったんだよね。
う〜ん、これでダメって事はブラックボアとかクラウンコッコの魔石を使わないとダメかなぁ?
でもさ、アマンダさんに教えてもらった魔道オーブンに使ってる魔石って、今実験に使った大豆くらいの大きさのなんだよね。
「やっぱり別のお部屋作って、そこで一度温めてからじゃないとオーブンには使えないのかなぁ?」
クラウンコッコの魔石はまだ何個かあるからそれを使ってもいいんだけど、前に聞いたらお値段が10倍くらい違うらしんだ。
だったらさ、やっぱりちっちゃい方を使いたいよね?
だからやっぱり筒を通すだけじゃなくって、かまどとは別の所にもう一個お部屋を作ろっかなぁ? って考えたんだ。
でもなぁ、それだと出来上がったオーブンがおっきくなっちゃうんだよね。
アマンダさんとこで使ってるみたいに二重のかまどになってるんだったらそのそばに空気を熱くするお部屋を作ってもいいんだよ?
でも、今僕が作ろうとしてるみたいに、一個のかまどに熱くした空気を入れて中の温度を上げる形だと、そのもう一個のお部屋の熱がどうしてもかまどの方にも行っちゃうんだよね。
そしたらさ、そのお部屋がある方だけが熱くなっちゃうから、なんとか筒を通すだけで熱い空気を作りたいんだよね。
「なんかいい方法ないかなぁ?」
そう思いながら、僕は目の前の机の上を見てたんだよね。
そしたらさ、さっき温度を測るのに使った魔道具が目に入ったんだ。
「そう言えば、クーラーもこれとおんなじように、クールの魔法でつつべたくした風を通してるんだよなぁ」
魔道クーラーって、クールって魔法が周りの温度をすぐに下げちゃうのを利用して、そこに風を通すことでお部屋の中を涼しくしてるんだよね。
だから熱くするか冷やすかの違いはあるけど、やってる事はこれとおんなじ事……って、あれ? ホントにおんなじなのかな?
「そう言えばクールの魔法って、指定された場所の空気を一瞬であらかじめ決めといた温度まで下げる魔法だよね?」
クーラーはその力を利用して、効果が発動しているとこを通った空気を使ってお部屋の中を冷やす魔道具なんだ。
火の魔石も近くを通ったものを温める効果があるから、そこだけ見ると効果が逆なだけでおんなじみたいに思えるでしょ?
でもこっちは一定の温度まで下げるクールの魔法と違って、火の魔石の活性化は”周りのものを温める”効果なんだもん。
「って事はもしかして、火の魔石であっためた空気をもういっぺん違う火の魔石があるとこを通したら、もっとあったかくなるのかも?」
少し温いスープを火にかけたらあったかいスープになるでしょ?
もしかしたら、あったかい空気をもういっぺん活性化させた火の魔石の近くに通したら、もっとあったくなるんじゃないかなぁ
そう思った僕は、早速最初に使った米粒くらいの火の魔石とさっき使った大豆くらいの火の魔石を使って新しい魔道具を作ってみたんだ。
そしたらさ、今度は温度が160度近くまで上がったんだよね。
「やった! ちゃんと熱くなった!」
思った通り、火の魔石は魔力で同じ温度まで熱くしてるわけじゃなくって、温度を上げてるだけ見たい。
って事はさ、ちっちゃな火の魔石でも、いっぱい並べたらそこを通る空気をどんどんあったかくできるって事だよね?
そう思った僕は10個の魔石を火の魔石に属性変換して、それを筒の真ん中に来るように順番に固定する形で魔道具を作ったんだ。
そしたらさ、それを全部活性化させると出てきた風は280度くらいにまで上がってたんだ。
それこれ、10個の魔石で温めてるでしょ?
アマンダさんとことおんなじ大豆くらいの大きさの魔石を使った場合、温度の調整は魔道回路図を使ってするから温度が高くても低くても使う魔力はおんなじなんだよね。
でもこの方法だと温度を下げる時は活性化する魔石の数が減るから、使う魔力の量も減るんだよね。
「これで温めるとこは完成かな? あとはかまどの中の温度だけど……」
別のお部屋で温めないとダメってのは何とかなったけど、でもかまどの中全体をおんなじ温度にする問題が残ってるんだよね。
「この方法だと、釜の中でもあっつい風が出るとこが一番熱くなっちゃうんだよなぁ」
アマンダさんに教えてもらったオーブンは、周りにあっつい風を通してかまどの中の温度を上げてたでしょ?
でもこの筒を使って温める方法だと直接かまどの中に風を送り込むから、どうしてもその出口が熱くなっちゃうんだよね。
「どうやったら中がおんなじようにあっつくなるのかなぁ?」
僕は頭をこてんって倒しながら、う〜んって一生懸命考えたんだよ。
そしたらさ、ある事を思い出したんだ。
「そう言えば前に作った冷蔵庫って、つべたい空気が下に行くから上に氷を作るお部屋を作ったんだよね?」
前の世界でね、あったかい空気は上に上がってつべたい空気は下に行くってのを、学校ってとこで教えてもらったんだよね。
って事はだよ? 下から熱くなった空気を出してやれば上の方までおんなじように熱くできるかも?
それにね、風を直接かまどの中に入れるんじゃなくって、吹き出し口んとこにおっきな丸い銅の板を入れてやれば下の方全体がおんなじようにあったかくなるよね。
「あっ、そうだ! そう言えばお部屋の中の空気って、風でかき回してやるとおんなじくらいの温度になるんだっけ」
これはね、前の世界で見てたオヒルナンデスヨでやってたんだけど、クーラーをつける時は、下から羽が回る機械で風を送ってやるとお部屋の中全体が涼しくなるって言ってたんだよね。
って事はさ、下から熱くなった風を出すだけじゃなくって、かまどの中にも風の魔石を置いて中の空気をかき混ぜた方がいいのかも?
そこまで考えた僕は、一度木の板に大体の作り方を書きだして、それを見ながら作業部屋の中に置いてある材料をテーブルに並べてったんだ。
でね、まだ実験だから外っ側までは作んなかったけど、一応オーブンに見えない事もない、4本の短い脚がついた丸っこいオーブンが完成。。
早速それに魔力を通して、動かしてみたんだ。
そしたら大成功! かまどの中に何カ所か温度が解る魔道回路をつけて調べてみたんだけど、ちゃんとオーブンの中全体がおんなじくらいの温度になってたんだよね。
「これだったらそのまんま外っ側も作って、魔道リキッドを入れるとことかスイッチとかをつけて完成でいいかも」
それにね、実際に動かしてみたら思った以上によくできてたもんだから、僕は実験用のつもりだったオーブンをちゃんとした魔道オーブンとして完成させたんだ。
とうとう魔道オーブンが完成しました! おまけに小魔力化のおまけつきw
そしてこれによって作れるお菓子や料理の幅がぐんと広がります。
さぁ、まずは何を作ろうかなぁ?
あっ、でもその前にドライヤーを作らなきゃダメか。
でもなぁ、1本の話にするのは無理そうだし、次の話の冒頭のナレーションだけで済ましちゃおうかなぁ。